コラム

マンションの売り方

  • LINEで送る
マンションの売り方

「高く売る」より先に決めるべき、あなた自身の価格基準

「マンションの買い方」「不動産の買い時」といったテーマはお伝えしてきましたが、売る方法や売り時については、これまであえて踏み込んできませんでした。今回からマンションを中心に、土地・戸建てにも転用できる視点は随所で補足します。実需(自分で住む)と投資(賃貸など)で読み方が分かれる箇所は、今後も切り分けて整理していきます。
ネットに載る範囲で、かつ検索では出にくい/現場では言いにくい観点を、言えるところまでお伝えします。

「売り方」の出発点──「高く売る」とは、何より高く?

見出しに「高値売却」が入らない理由

よくある「マンションを高く売る方法」「高値売却」といった言葉を、今回のタイトルにはあえて入れていません。「何と比較して高いのか」が人によってまったく違うからです。

よくある比較軸(=あなたの価値基準の候補)

例えば次のような基準が浮かぶはずです。

  • 購入時より高く
  • 近隣・同条件のライバル物件より高く
  • 自分の想定より高く
  • 資金計画のラインより高く

どれが正しい/間違いという話ではありません。ただ、買い方のコラムでもお伝えした通り、ここで大事なのは自分基準を持つこと=目標設定をすることです。「何が自分にとって良い売却か」は千差万別で、感覚的に捉えやすいテーマでもあります。

注意点──基準が「ライバル比較」や「短期」に偏らないこと

ありがちな落とし穴:「隣(同条件)より高く」

マンションでは、隣の部屋・近隣の同条件の部屋より高くという発想が出やすいです。タワマンや大規模物件では、同時期に同条件が複数出ることも珍しくありません。

買い手の頭の中では何が起きるか

同条件が並ぶと、買い手はこう考えます。

「交渉して、条件の一番良い部屋を選べそうだ」
「値下げ競争が起きないか」

市場は、希少1点のオークションのように基準価格からせり上がる構造ではありません。むしろ、同条件が並ぶ局面では、先に売り切った側が有利になりやすいのです。

「売り相場」と「買い相場」の誤解

上昇相場=すべての部屋に追い風、ではない

価格形成の本質は、需要と供給のバランス、すなわち売り手と買い手の合意です。相場は、売り出し価格でもネット掲載価格でもなく、成約価格を軸にしないと誤りやすい、という話につながります。

エリア全体の話と、個別物件の話は別

買い手が売り手を上回るから上昇相場になりますが、全物件に当てはまるわけではありません。
例えば東京圏のマンション価格の上昇は、大きくは新築マンションの価格高騰と、それに伴う新築購入層の中古市場への流入が背景にある、という見方もできます。
新築と同等のグレード・条件に需要が偏る一方で、それ以外では供給過剰に見える局面もあり得る。
ここを混同すると、個別の売却戦略を誤ります。

需要が「多い」ほど売り手市場、とは限らない

同条件5件に希望者が5人・6人・4人

一見、「6人」が一番有利に感じますが、それだけでは売り手市場とは言い切れません。
買い手は、複数出ていれば「一番条件の良い部屋を買う」に寄ります。6人が仲良く1部屋ずつ、とは現実には起きにくい。
売り手が「他より良い条件で」と思う気持ちは、買い手側も同じです。結果として、姿勢が柔軟な売り手の物件から先に成約しやすくなります。

最後の1件になったら

より高い・より良い条件の買い手を待つ選択もあります。ただ、1年単位の長期なら上がる可能性もあれば、下がる可能性もあります。誰にも未来は分かりません。売却には事情や計画があるはずで、それをないがしろにしてまで待つメリットが常にあるとは限りません。短期視点でも、その後に同条件が追加されれば、同じ力学が繰り返されます。

結論
「隣(同条件)より高く」を戦略の中心に据えるのは、論理として破綻しやすい。
とはいえ、この手のコピーは広告で目にします。ここは言える範囲で、今日はこの辺に留めます。

まとめ(おわりに)

今回は「売り方」の入り口として、比較対象をどう置くかと、市場がオークションではないこと、成約とセグメントの話を整理しました。続きは「マンションの売り方2」で展開します。

「マンションの売り方2」のコラムはこちらから

自宅マンション売却のご相談はこちらまで

投資用物件売却のご相談はこちらまで

  • LINEで送る