コラム

空き家問題について②

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空き家問題2

特定空き家に指定されると何が起きるか──空家対策特措法と相続登記義務化の要点

はじめに

前回に続き、空き家問題をめぐる法整備の概要を整理します。近年、放置された空き家が防災・衛生・景観など地域生活に与える影響が問題視されるなか、2015年制定の空家対策特別措置法(空家等対策の推進に関する特別措置法)が制度的な枠組みの中心です。あわせて、2024年4月1日から相続登記が義務化されたことは、所有者の把握と問題解決の前提を大きく変えました。ここでは、事業者・所有者双方が押さえるべきポイントを、論点ごとに整理します。

空家対策特別措置法の目的

本法は、適切な管理が行われていない空き家等が防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼしている状況を踏まえ、地域住民の生命・身体・財産の保護、生活環境の保全、空家等の活用の促進を目的としています。

制度の要点は、次の3点に集約できます。

  • 特定空き家に該当すると、自治体の助言・指導等に基づく改善が事実上必須になる
  • 命令違反などには過料(最大50万円以下)のリスク
  • 固定資産税等の住宅用地特例の対象から除外され、税負担が増える可能性

「特定空き家」「過料」「住宅用地特例の除外」──この3語を軸に理解しておくと、実務の優先順位が立てやすくなります。

「空家等」と「特定空家等」の違い

空家等

建物、または建物に付属する門・塀などの工作物で住居等に使用されていないことが常態であるものとその敷地(立木その他土地に定着する物を含む)が対象となります。

特定空家等

周辺への有害性が高い空き家として、次のような状態が想定されます。

  • (ア) 倒壊等により著しく保安上危険となるおそれ
  • (イ) 著しく衛生上有害となるおそれ
  • (ウ) 適切な管理が行われず著しく景観を損なう状態
  • (エ) その他、周辺の生活環境の保全のために放置が不適切な状態

国土交通省のガイドライン等と照らし合わせ、自治体が特定空家等に該当するかを判断する流れになります。

所有者等の責任の明確化(法第3条

空家等の所有者又は管理者(以下「所有者等」)は、周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう、空家等の適切な管理に努めることとされています。

特定空家等に指定された場合、所有者等には是正の責任が具体的に問われることになります。放置は「個人の自由」では済まない段階に入っている、という認識が重要です。

特定空家等に対する措置(法第14条など)

市町村長は、特定空家等の所有者等に対し、除却・修繕・立木竹の伐採など必要な措置について助言・指導・勧告・命令を行うことができます。命令に従わない場合には代執行もあり得ます。

整理すると、次の3点が実務上の焦点です。

助言・指導・勧告・命令と過料

段階的な行政対応のうえ、命令に従わない場合には50万円以下の過料が科されることがあります。

行政代執行

行政が所有者に代わって除却等を実施し、費用を所有者に請求する仕組みです。結果として、放置コストが一気に顕在化します。

固定資産税等の住宅用地特例の対象からの除外

行政が必要な措置を勧告した場合、当該特定空家等の敷地について住宅用地特例の対象から除外し得ます。住宅用地特例は、固定資産税で最大6分の1、都市計画税で最大3分の1に軽減できる制度であり、税制上のインセンティブが空き家の解体・更地化を遅らせる一因として指摘されてきた経緯もあります。除外は、その構造を逆手にとった措置と理解できます。

相続登記の義務化(2024年4月1日~)

空家対策特措法だけではなく、2024年4月1日から、これまで任意だった相続登記が義務化されました。

背景には、「実家を事実上相続したが登記をしないまま」といったケースが積み重なり、登記簿上の所有者が不明、または連絡が取れないことで行政対応が進まない──いわゆる所有者不明に起因する空き家問題の深刻化があります。

新制度では、相続の開始および所有権を取得したことを知った日から3年以内に名義変更手続を行うことが義務づけられ、正当な理由なく申請しなければ10万円以下の過料の対象となり得ます。詳細な手続・例外は別途整理が必要ですが、「名義が曖昧なまま」はもはやリスクの温床である点は強調したいところです。

おわりに(まとめ)

空き家問題は、行政の段階的介入・罰則・税制・登記義務が一体となって、所有者の行動を後押しする方向に進んでいます。次回は、これらの法整備を踏まえた所有者側の具体的な対策について述べたいと思います。

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空き家問題について③へつづく

空き家問題について①はこちら

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